可塑性

笑ったときの、目元がうつくしい人だった。 目尻にあらわれる皺、目蓋の引き攣れ方、まつげの揺れ。 相対する者に、何か豊かなものを共有できているという自負を齎すような笑い方だった。 後期(私たちの付き合いにおける)の荒んだ様を知っているがゆえに、尚…

おろか

であることを隠したり、少しいいもののように取り繕ったりするよりは、恥じつつもひねず、なるたけ生に対して健気でいられればいいなぁ。ハードル高い。

表と裏

きみの可愛さはきみの愚かさだし、わたしの諦めはわたしの期待。 戦うのに疲れて背中を丸めて眠ればこのうえなく野蛮なゆめをみたりする。 寒さの緩みつつある三月。新しい季節に怯みつつ、限りのない期待が葉を広げていった。

今日よりもよりよい明日を ※3/20追記

自己啓発本みたいなタイトルではじまりましたが、表題の件、最近のわたしのいちばんの関心事なのです。 否、関心事どころか、わりと切実な希求といいますか。女に産まれたからには、誰しもが(違っていたらごめんなさい)なんとなく漠然とした不安を抱えている…

場数

仕事でミスをしてしまいふがいなさでちょんとつつかれればぶわっと涙が出そうなジト目でここ数日を暮らしているのですが、 周りの大人の人たち(と今年満26歳がいうのはイタいのは重々承知なんですがほんとにこう思うから仕方ない)の、場数を踏んできた感にた…

むちゃくちゃさみしくて、誰でもいいから、と祈ってみたりした。

あの頃の音楽

高校生のころ大好きだった曲がイヤフォンから不意打ちに鳴った瞬間、 コートの胸元をぐいーっと引っ張られるような気持ちがした。 その手は女子高生だった私のものだと思うが、とにかく強制力のある、純粋な暴力で、電車の中の会社員の私は、何だかしみじみ…

うろんむろん

ヌルッとした手ごたえがあった。 否応なしにめぐる世界が様相を変えつつある。 すがりつきたい手すりはあの人の腕の太さにそっくりだった。夜。渡る必要のない歩道橋を渡る。 流れていく車のライトをみながら口遊むメロディー。 役に立たぬ情報から手繰り寄…

素敵すぎて

荒れ地に一人で立っているようなそんな気持ちで冷める一方のカプチーノを掻き混ぜる。泡はもう一面茶色くてドブ川、と思いながらさらに掻き混ぜる。細いスプーンは銀色で鈍くカチカチ鳴っていた。無様、と呟くと晴れ晴れした。例えば好きってなんだろう。愛…

青春は神様にレンタルしてる時間なんだ

ごめんね青春より。毎週毎週、ああ、いいなぁーと思いながら視聴しております。 何というか滋味あふれる作品だなぁと。 青春の眩しさ、とかそういうのじゃなく、五臓六腑に沁みわたる系な気がします。 なにより主演の錦戸さんと満島さんが素晴らしい。 錦戸…

走れゎナンバー

が、すごくいいなーと。 カッコイイし、気分にすごくフィットしてくる。古い夢を引っ張り出して眺めてた。 色褪せたそれは私の中の市場でもう価値はなく、ただの懐かしいものと化している。 でも綺麗な字に関しては、昔と同じように感心して胸が高鳴った。 …

ゆるい地獄

ご無沙汰しております。 まいにち日記、あるいは日記は大仰すぎるとしてせめて走り書き程度のもの、は残したいと思いつつ、つつ、つつーっと日々が流れ去っていくのを横目でみるばかりの最近です。 これ、最近じゃなくって、きっと明日も明後日も来年も十年…

5月30日のこと

突然、圧倒的な断絶のしかたをされ、茫然とし、とにかくクエスチョンマークと驚愕を引き連れたままお別れをしに行った。 顔をみた瞬間、心と体の統制がとれなくなり、ぶざまに泣くしかなかった。 どうしちゃったんだよ。 考え直せよ。 とりあえず深呼吸しよ…

淡々と、切実な

さしあたっての懸念事項を解消していくのに必死で、その先の位相の違う不安には手つかずな日常であります。津村記久子の「君は永遠にそいつらより若い」を読む。淡々と切実で、諦念と欲望の配合が、「25歳OL」のわたしにはひどく真実味がある。 働き始めてよ…

簡単にいえば、抱いてほしかったのです

埋める

例えば細くて長い指とか 放物線を描く笑い皺とか まっすぐな背中とか 短くていまいち触り心地の想像しにくい髪だとか触れれば何か変わったのかな 何も知らないふりして、不埒な欲望

最近のなやみ

わたしは整理整頓ができない、と書くとなんだそんなこと、と笑われてしまいそうだけどなかなかこれが厄介で、目下のなやみとしてかなりのウェイトを占めている最近。 今までも同様だったのになぜ今さらなやみはじめたかというと、職場のデスクの散らかりよう…

ご無沙汰しております

ここに物を書くのは久しぶりになりますね。 それにしたってTwitterの手軽さは恐ろしいです。 だって簡単に長い文章が書けなくなってしまう。 「言いたいことを限られた字数で端的に表現するためのレッスン」とか自分なりに定義づけて使えればいいんだろうけ…

ここ数日

友人の映画に参加。 主演。10分の短編映画。女子高生。女の子の友情。撮影現場。 人間関係。適材適所。采配の重要性。 おのおのが、深めたいと思っている専門分野に対して真摯で、やりとりの端々に敬意と清々しさが感じられて良いなと思う。今までやってき…

バターナイフ

近ごろ、人間関係に於いて主体性を放棄している。 とてもいい意味で。 もうあんなに厭っていた誤解をも恐れないし、そもそも、誤解というのは実際があるからこそあらわれる概念であり、今の私に実際などないありはしないという気づきのもとでは、誤解など生…

実感

おれって相当めんどくさい

しじま

とうの昔に朽ちた肌、の名残を撫ぜる。 かさかさ。鳴く。皮膚だったものたちが鳴いて舞う。 ひび割れは干乾びた河川のように、壮絶に空しい。どれだけ慎重にやったってぼろぼろと崩れていく。 少し風が吹けば、きっと形すら留められないだろう。創生。 うま…

大発見

大発見アーティスト: 東京事変出版社/メーカー: EMI Records Japan発売日: 2011/06/29メディア: CD購入: 13人 クリック: 375回この商品を含むブログ (127件) を見る渋谷のTSURAYAで購入。私は椎名林檎の音楽で育ち、しかも私が椎名林檎を発見したのは彼女が…

あ、あと

髪を切ったのであります。 それはもう潔く。 うなじが陽の光にさらされるこの髪型は、すっと背筋がのびます。髪が長かったときは比較的アンニュイな気分で生活していたのですが、 髪を切って以来、どことなく気分が溌剌としています。 溌剌と云うとどこかう…

去りし日々

6月も終わりそうですね。 今年は紫陽花をみることもなく終わりそうで残念。私と云えば、週2回の授業に出掛け、登録したジムへ出掛け、漸く決まったバイトへ出掛け、涼しい夜を見計らってせっせと友人とともに飲み屋ののれんをくぐり、といった風に日々を過…

早熟と老成

早熟は孤独。 老成は静寂。

積み上げる弱い魔法

ご報告をば。就職活動を終えました。まだ来年の私がなんという名前の組織に内包されるのかは決まっていないのですが(内々定をふたつ頂き、最終選考の結果待ちがひとつあるため)、なんとかプータローになる事態は回避できたようです。超氷河期だなんて言われ…

私は言葉を

自分が表現力豊かで感受性が強いことを誇示することを第一目的として選ぶ人のことは好きじゃない。 それはとても空しい行為だ。そういう言葉は宙に浮く。決して届かない。そして空気に掻き消える。対話の中でちょくちょく相手の自分の印象を「こう思ってほし…

「あの、波頭がきらっと光る感じの幸福と、焼けていくパンのにおいがみちていく感じの幸福ってちがうじゃない?」

思考言語と対外言語の間に大きな隔たりがあることを痛感する日常。 それが思考言語を対外用にうまく翻訳できた結果であるならいいんだけど、私の場合単にものぐさで大雑把なだけだからいけない。+αへたに下町で幼少期を過ごしたからかな。 何かもごもごと詩…

とにかく

愛を以て止めを刺されたくってしかたない。 フォークで真っ白な壁に突き刺された絵葉書とか、銛で腹を突かれた魚とか、そういうものに対する憧憬が湯水のように溢れ出ている。 どこにも行けなくなりたい。 手も足も退化して、真っ黒な瞳だけがいつも期待と不…