むちゃくちゃさみしくて、誰でもいいから、と祈ってみたりした。

高校生のころ大好きだった曲がイヤフォンから不意打ちに鳴った瞬間、 コートの胸元をぐいーっと引っ張られるような気持ちがした。 その手は女子高生だった私のものだと思うが、とにかく強制力のある、純粋な暴力で、電車の中の会社員の私は、何だかしみじみ…

ヌルッとした手ごたえがあった。 否応なしにめぐる世界が様相を変えつつある。 すがりつきたい手すりはあの人の腕の太さにそっくりだった。夜。渡る必要のない歩道橋を渡る。 流れていく車のライトをみながら口遊むメロディー。 役に立たぬ情報から手繰り寄…

荒れ地に一人で立っているようなそんな気持ちで冷める一方のカプチーノを掻き混ぜる。泡はもう一面茶色くてドブ川、と思いながらさらに掻き混ぜる。細いスプーンは銀色で鈍くカチカチ鳴っていた。無様、と呟くと晴れ晴れした。例えば好きってなんだろう。愛…