素敵すぎて

荒れ地に一人で立っているようなそんな気持ちで冷める一方のカプチーノを掻き混ぜる。泡はもう一面茶色くてドブ川、と思いながらさらに掻き混ぜる。細いスプーンは銀色で鈍くカチカチ鳴っていた。無様、と呟くと晴れ晴れした。

例えば好きってなんだろう。愛も恋も本当も嘘も一つも残らず例えてほしい。
ねぇ、冬は空気が澄んでいるから星が綺麗なんだと説いてくれた人。沈みゆく夕日に郷愁を掻き立てられるのは胎内からみた現実世界の眩しさに似ているからだと教えてくれた人。
例えてよ素敵に。ロマンチックな名詞に知的な副詞とうっとりするよな形容詞をくっつけて。
残らず鼻で笑ってやるから。