2010-01-01から1年間の記事一覧

述懐

祝福も赦しも届かない暗やみの中で二人は、汗で湿った手を握り合ってひそやかにしたたかに呼吸をしている。傷ついても笑い合うことはできた。冗談を言い合うこともできた。けれど泣くことだけは、どうしてもできなかった。

もはや

向き・不向きの問題と名付けて責任逃れをしたくて堪らない。 あれだけ愛を注いで育ててもらった筈なのに、なぜだろう、私はそれを体内に留め続けることができない。愛を食らって生きでもしてるのか。或いは愛を感じる心の器官が正常に活動していないのか。欠…

不協和音

歯科で膿を出すために歯茎を切ったのを境に体内に蓄積されていたであろう疲労が病気となって噴出し、内科で処方箋を受け取って帰宅したら母親と喧嘩をした。 母親と私は生きていく原動力となる感情が恐らく異なっているし、自己同一性の在り方も大分異なって…

泡のような真夜中

女ふたりで居酒屋。近くの大型スーパーで紙とボールペンを二本買って横並びで座る小さな小さな個室に収まった私たちは、店員から見たらどういう関係にみえるのかという話を机の上に並べた白い紙に絵や断片的な言葉を書きながら話したりして、夜を明かした。 …

持て余す

肉体。白い壁。承認欲求。涙、怒り、咆哮、衝動。 凪いでいるのは諦めているから。それだけだ、けして褒められたものではない。歩むみちは無限にあるなんて、なんて素晴らしくてつめたいのだろう、人生は。可能性も資質もそんなもの、自分で分かるわけないじ…

純粋な不純物

あと結局生きてるにんげんなんて全部エゴイズムのかたまりなんだから、開き直るまではいかなくてもそういうことをある程度前提として自分のことを考えていかないと誇り高きプライドに身動きが取れなくなって自滅していくだけだ、と思った。そんな素敵なもの…

襲来

するしんどさに、太刀打ちする術をまだ身につけられてない。まともにパンチをくらって、疲弊するだけ。 彼女はカウンセリングを受けたいという。適切な知識と肩書を持った他人に話を聞いてもらうのはいいことだと、真剣にそう思う。のろのろと開いた口から飛…

甘い水

分かり合えたという幻想が互いの間で共有された瞬間の甘さがいまだに忘れられず、またその味を確かめたいが為にやけに真面目な顔して向き合ってみたり無様に傷つけあってみたり滑稽な駆け引きを繰り広げたりするのが人間だとすれば。私が君が彼が目に見えな…

慈愛と同情

履き違えているのかも知れない。 そうやって私が守りたいのは、襤褸切れのような自尊心。

twinkle

結局自分を救えるのは自分しかいない。それは決して悲観的であったり斜に構えたりした見解というわけではなく、極々当然の妥当な結論である。私は私にしか救われない。正確に云うと、他人の言動・存在を救いと認識し受容する私によってしか、救われない。救…

こわいのは

期待すること。 期待は、厄介だ。 手懐けられない、それどころか手に負えない。 暴れだして、相手を、何よりも自分を、手加減なく傷つける。 ついた傷口から、疑心暗鬼が広がっていく。 それが心を疲弊させて、さよならだけが救いになる。

腐敗もしくはリセットボタンを押されたロボット

のように何もしなかった。からだは動かず、こころも淀みきっていた。 ただ一日汗で湿ったベッドの枕に鼻を押しつけて行くべきだったセミナーにも行かず、ドアの向こうで両親と愛犬のたてる健やかな生活の音に耳をそばだててるだけ。なんて卑屈で姑息な生物な…

あと

私は基本的に人間の女全般に対して異様な嫌悪感を覚えるという残念スペックを搭載していてその所為でいまだに自分が女であることを楽しめてないというとりあえず非常に残念な生き物なのですが、今日本当に久しぶりに女の強み、みたいなものを肌で感じました…

その瞬間

優しいものも、温かいものも、柔らかいものも、全てまだ、私には早すぎると思うのです。求めるには、早すぎると。 もっと凛と冷たい風の吹く処できちんと葛藤し、切り開いて、理解し、背筋を震わせたいと、しんにそう思う。 慰められるほどかなしくもさみし…

オータム・イン・メトロ

体内で感受性が理性を振り切って暴走するメトロノームのようになる。名前も知らぬ誰かの運転する東京メトロの中。日中、抑圧されているそれが暴走し、露わになる。世界が相貌を変える。淡い優しいヴェールは切って落とされ、私はそれと瞳を合わす。見知らぬ…

秋の模索

暗くなった大学の南門で二日連続で偶然友人に会う。はい、あげるねと手渡された栗味のマシュマロ。待ち合わせていた別の友人とレイトショーで映画を観に行く。赤い絨毯の上で息をひそめる何百人の、静かな高揚に、沈黙に溶けた切なさ。上映後の、途端に弛緩…

メモ

・やりすごして大人になる ・ではその先、何になるためにやりすごせばいいのか ・リリィ・シュシュ ・就職活動

遣る瀬無い

私の男 (文春文庫)作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/04/09メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 109回この商品を含むブログ (94件) を見る引き込まれて、五時間くらいかけて読了。 綺麗に印字された明朝体の下を荒れた河川のようにごうご…

衝動

陽の下、全てを壊してしまいたいという衝動。 みっともなく縋りつくよりもずっと美しい光景。

一億総みつを化

に対して抱く嫌悪感、というか釈然としない感じ。平仮名多めのセラピー本に文脈から無理やり引っぺがされて格言としてコーティングされ消費される言葉。とりあえずこのままだとこの世代は若年性アルツハイマーの宝庫になる予感がひしひしと。きちんと頭を使…

再生・蘇生

再生されていく過程を、掬い取って、言葉に写し取りたい。 ゼロの地平から構築していくより、凡そ複雑で繊細で、厄介な作業。 それを行おうと思うにんげんの心の機微や、綻んだり毛羽立ったりした関係を優しく繕ってくれるような景色、傷つけた刃物も、その…

アバウト・ハッピー

ひどい雨。眠気。時差ボケに似た倦怠感。私はどうしたいんだろうと自問自答する日々。何になりたいのか、何がしたいのか。答えは一向に見えてこず、時間だけを消耗している気になってくる。労働者になる覚悟が全くできていないことを悟る。今のところ働きた…

行く川の流れは絶えずして

しかし本の水にあらず川の近くにある家に帰ってきた。白い、何もかもが白い。重厚な木の物々しい木目だらけだった祖父母の家から帰ってくると、ここはとても白の分量が多いということに気づかされる。眩しくて目を眇める。極めて順調な飛行を続ける機内で考…

ちからの及ばない

全てのものが敵さ凄く嫌いだ 「日本に生まれて」「心」が頭の中をエンドレスリピートする日々。電話、電話、電話。ハロー、ハロー、応答願えますか。オペレーターにお繋ぎします。丁寧な言葉でするする為されていく事務的手続き。血は何倍に薄めれば嚥下しや…

cosmic

宇宙に風など吹かないことは分かりきっているのだけれど、それでも、この風は宇宙から吹いてきたのではないかと感じる風がある。死んだ星と膨大な時間のにおいがして、私の鼻先をくすぐったり毛先を靡かせたりしてブラックホールへ誘うのだ。目を閉じる。ま…

心情

私が祖父と持とうとした二人きりの疎通、そこだけで意味を持ちうる言語を、無理やり自分も共有して管理下に置こうとする為には手段を厭わないその行為を、どうして乱暴で粗野な行為といえなくて? あの手紙は、たった一度だけ祖父に伝わるよう朗読して、眠る…

何人かの友人へ

ご心配をかけて申し訳ない。 わたしは元気です。大きい流れに身を委ねていようと思います。ありがとう。 こころから感謝しています。

ねこを百匹かぶる

お通夜の話。 典型的な都会の核家族で育ったわたしにとってはいつもいつも、「世の中にはこういうせかいもあるんだ」と驚かされる場所。 うんと年上の人ばっかりで、ずっと微笑み湛えっぱなしで、おんおん赤ら顔で泣き崩れるわたしにとってどういう人にあた…

Letter

祖父が息をひきとった。 ことばは無力だと知っていても、手紙を書きます。 私たちは生きていかなければならない。

as soon as possible

簡単に云えばしんどい 何もかもと無関係になってふわふわしたい 四方八方から壁が迫ってきていて もう苦しくて苦しくて便器に顔つっこんでおいしいからと勧められて無理やり食ったうどん案の定吐いて、これを四六時中繰り返してる祖父のしんどさを思って泣い…