行く川の流れは絶えずして

しかし本の水にあらず

川の近くにある家に帰ってきた。白い、何もかもが白い。重厚な木の物々しい木目だらけだった祖父母の家から帰ってくると、ここはとても白の分量が多いということに気づかされる。眩しくて目を眇める。極めて順調な飛行を続ける機内で考えていたこと。維持することの、なんと難しいことだろう。哀しみ一つ、満足に維持できない。健やかさの脅威。それが乃ち、生きていくことだとしたら。
白い柔らかな雲の上に落下して、空に抱かれて、私の一部が見えなくなって、恐らく死んだ。
うたかた。
お前の手は取らないよ。
私は生きていく。