秋の模索

暗くなった大学の南門で二日連続で偶然友人に会う。はい、あげるねと手渡された栗味のマシュマロ。待ち合わせていた別の友人とレイトショーで映画を観に行く。赤い絨毯の上で息をひそめる何百人の、静かな高揚に、沈黙に溶けた切なさ。上映後の、途端に弛緩する空気と、興奮気味のさざめき。マスカラは落ちなかった。帰りのメトロはサラリーマンで混み合っており、けれど私はそんな些末なことは気にならないくらい、不思議に高揚しながらイギリスで買った大きなトートバックに入ったマシュマロを思い出しながら一人吊り革を握りしめる。