歌詞について

宇多田ヒカルの何がすごいのかと問われればおそらく一曲の中の文脈の構築力なんじゃないかなと思った。その位置に配置されているからこそ、とてつもない力を発揮して聴いている者の心を震わせつづける言葉が、宇多田ヒカルの楽曲には数多く存在している。

Hello Goodbyeは特にそれが顕著に表れているなーと個人的には思った。
「無意識の楽園」は夢の終わりとともに消える。夢の終わりは「君の名を知った」から訪れて、「So Goodbye Loneliness 恋の歌口ずさんで あなたの瞳に映る 私は笑っているわ」
ここまではわりとあるんじゃないかなと思う。「無意識の楽園」っていうのはとても宇多田ヒカルらしいフレーズだと思うけど。変な色気を出さないとこが。
でもすごいのはここからで、
「So Goodbye Happiness 何も知らずにはしゃいでた あの頃へはもう戻れないね」
孤独に手をふって恋の多幸感をうたった次の瞬間、幸福とも決別してしまう。
「あの頃」とは勿論、「無意識の楽園」を指している。甘いお菓子が消えた後さびしそうにしていた男の子や、白いワンピースが汚れようがお構いなしに女の子が日に焼けた手足でめいいっぱい走り回っていた、そんな世界だ。
「君の名を知った」ことで、無意識の楽園は終焉をむかえた。それは孤独のおわりであるとともに、ある種の幸福との決別でもあった。
それでここがすごく胸にぐっと迫ってきたんだけど、
「それでもいいの Love me」
この「それでもいいの Love me」のもつ破壊力は、やっぱりそれまでの文脈が持たせたものだと思う。

全部やりたかったけど唐突にキーボード打つのにつかれたからこの辺でおひらきします。
いないと思うけれどこの話いっしょにしたい人いたら言ってください。私はこの話がとてもしたい。飢えているといっても過言ではない(笑)