シナモンミルクティー

今私が選ぼうとしている事柄の今後の私の人生への影響度合いは、今まで私がしてきた選択とは一線を画すものなのだと漸く気がついて、耳たぶを刺す空気は完全に冬を示していて、高校生の時に毎日着ていたパープルのダッフルコートを着た私はひどく心細い気持ちで夜の早稲田を歩いていた。人によってはもうとっくに決断を下し、瞼の裏や手帳に描いた理想の未来の自分像の実現に向けてきちんと段階を踏みはじめているのだろう、色々なことと折り合いをつけながら。そう思うと私はまるで自分が欠陥品のように思えてきて、往来で泣き出しそうになって、けれど泣き出す為に必要な衝動はとっくに死んでいて、くちびるを噛んで俯いたままそっと白い息をはいた。