今の私にとって、社会とは暗い海である。
テトラポットの上でうろうろと落ち着きなくその様子を窺っている。あの水はつめたいのだろうか、それともあたたかいのだろうか。しょっぱいのだろうか、そうでもないのだろうか。想像してみて、その無意味さに気づく。
潮風が鼻先をくすぐる。私はテトラポットから飛び降りて、こわごわ砂浜に足をつける。おそるおそる一歩を踏み出す。