牛丼とデザートにカロリーメイトを

蛍光灯の色、チョークが黒板に叩きつけられる音、几帳面な綴り、白いワイシャツ、真っ黒でいかついヘッドフォン、紺色のボックスプリーツ、渡されたお金で買いに行った二人分のモスバーガー、膝同士がぶつかってしまいそうな講師室、はじめてみた大人の男の人の泣き顔。エスカレーターをあがって歩いた静かな夜道の空気。

残らずすべて感傷という名の重たい鉛につないで、みずうみの底に沈めた。
二度と浮かび上がってこないように。

けれど、今はこどもでも産まれてたりするんだろうか、とか時々思ってみては、なんだか笑いたいような泣きたいような気持ちになる。
あぶくのように発生しては片っ端から割れてなくなる感傷ならいいだろう、と自分に言い聞かせてみたり。

何もなかったから忘れられないんだろうな、きっと。